お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

放送中

放送中


  • 放送ログ
  • 音声あり

受刑者専門求人情報誌『Chance!!』を発行 三宅晶子さん

久米宏 ラジオなんですけど

TBSラジオで毎週土曜日、午後1時から放送している「久米宏 ラジオなんですけど」。
10月5日(土)放送のゲストコーナー「今週のスポットライト」では、日本初の受刑者専用求人情報誌『Chance!!』を発行している株式会社ヒューマン・コメディの代表取締役・三宅晶子(みやけ・あきこ)さんをお迎えしました。

受刑者がやり直せない社会


日本は犯罪件数(刑法犯)が20年近く減り続けているのに再犯者率は年々上がっています。刑務所などに入っている人のうち、実に48%が再犯です。つまり出所しても半分の人はまた刑務所に戻ってしまうのです。どうしてそうなってしまうのでしょうか。意志が弱いから? 本気でやり直す覚悟がないから? 確かにそういうことはあるかもしれません。でも三宅さんは、いまの日本は、出所してもなかなかやり直せない社会になっていると言います。

「出所しても彼らはほとんどお金を持っていません。ですからマンガ喫茶やネットカフェに泊まることはできても、すぐにどこかに住むというのは結構難しいんです。住む場所がないと住所がないわけですから仕事は探せません。それと、お金がないと携帯電話も契約できませんから、やっぱり職探しは難しいですよね」(三宅さん)

住む場所と仕事が見つからないまま短期間にわずかなお金を使い果たしてしまうと、何か盗んだりしてまた刑務所に戻る。刑務所なら毎日きちんど食べるものが出て、きちんと生活できるというのです。

受刑者は情報弱者


受刑者たちが出所後に仕事を探そうとしても、彼らが知りたい情報が得られないということも問題です。どういうことかというと…。

「受刑者の中には漢字があまり読めない人もいて、そういう人は例え求人情報を見ることがあったとしても情報をほとんど得られないですよね。それからハローワークで求人情報を見たことはありますか? もし私がそれを読んでもほとんど分からないですよ。仕事の内容とか、給料とかいろいろ書いてあっても、どういう会社かはわからない。どういう人たちと一緒に働くことになるのか、社長はどんな人なのか、彼らにとってはそういうことが不安なんです。でもそれが分からない。何かツテがあればその人を頼って就職することができるかもしれませんけど、刑務所に入って縁を切られちゃったりして、身元引受人がいないというお人も結構いるんです。身元引受人がいないと就職できません。それで結局、悪い仲間のところへ戻ってしまえばまた元の世界ですから。受刑者が出所したあとの仕事の情報はほとんど得られないというのが現実です」(三宅さん)

受刑者が知りたい情報が載っている


受刑者たちを受け入れる社会になっていないということを知った三宅さんは、2018年3月、それまで日本になかった受刑者専用求人情報誌『Chance!!』を創刊しました。「絶対にやり直す」という覚悟のある人とそれを応援する企業のための求人誌です。

まず気がつくのは、全てのぺージ、全ての漢字にルビが振られていること。これなら平仮名さえ読めれば内容が分かります。受刑者の受け入れを希望する企業が掲載されているます。受刑者たちがいちばんしりたがっているのは、その会社にはどんな人たちが働いているのか、そして自分はそこで受け入れてもらえるのだろうかということ。ですから『Chance!!』には社長の顔写真と社長自身の熱いメッセージが掲載されています。受刑者支援に熱心な社長さんは、かつて自分も非行経験がある人が多いそうです。

また、掲載されている会社は「全社身元引受けOK」「全社寮完備」となっています。これはもちろん三宅さんがそういう企業にお願いしているためです。出所後の仕事と住むところが約束されているということは、やり直したいと考えている受刑者にとって非常に大きなことです。

ユニークな履歴書


『Chance!!』には受刑者専用の履歴書も付いています。そこには収容年数や入所回数、今回の犯罪歴、それ以前の犯罪歴、再販しないための決意や反社会的組織との関係などを書き込む欄があります。

「こういう内容を書くのは彼らにとって辛いことですけど、自分の過去にしっかり向き合うためには大事なことです。また、こういう履歴書だと、その人がどんな人間なのかっていうことが浮かび上がるんです。ちょっときれいなことを書きすぎているなとか、結構わかりますよ。彼らを受け入れる社長さんたちもそこが知りたいことですからね」(三宅さん)

『Chance!!』は年4回の刊行で、三宅さんはこれを全国の刑務所、少年院、更生保護施設など、全国約240の施設に無料で送付しています。でも、この求人誌を積極的に利用する施設はまだ10ヵ所もないそうです。営利目的ではないかと思われることが原因のようです。そこで三宅さんは、受刑者支援団体を通じて受刑者たちに直接届けるようにしました。これまでにのべ1500人の受刑者に届けたそうです。

三宅さんも非行から立ち直った


実は三宅さん自身も10代の頃は非行に走った過去があります。三宅さんは1971年、新潟県生まれ。中学時代から非行を繰り返し、高校に入学するも恋人との同棲が学校に知れて5ヵ月で退学処分に。退学後は、地元・新潟のお好み焼き屋で働いていました。そんなとき父親からデカルトの『方法序説』を渡され、これをきっかけに大学進学を志したそうです。23歳で高校に入り直し、さらに早稲田大学を卒業。貿易関係の会社や大手企業で働きました。そして2014年に会社を辞め、自立援助ホームや受刑者を支援する施設などをボランティアで手伝うようになり、やり直しがきかない日本社会の現状を知ったのです。

そして三宅さんは奄美大島の自立支援ホームで17歳の少女と出会いました。それから半年後、彼女から手紙が届くのですが、それは福岡の少年院から出されたものでした。少年院を出たらおそらく奄美大島の施設に戻ることになる。それだとまた悪いことを繰り返すおそれがある。そう思った三宅さんは彼女と養子縁組をして身元を引受けることを決めたのです。そして彼女を社会復帰させるには〝居場所〟を作ってあげることが大事だと考え、株式会社ヒューマン・コメディを設立したそうです。

こうした取り組みに国がもっと力を入れるようになれば、再犯率が減って犯罪そのものがもっと少ない社会になるのではないでしょうか。

三宅晶子さんのご感想


すごく楽しかったです。楽しいし、久米さんはあったかいですねえ。何かを言っちゃいけないという空気が全然なかったです(笑)。

あんなに念入りに下調べをしていただいて、私自身が取材をする立場なので久米さんのその姿勢に大いに感銘を受けました。

対談が終わってから、当社(ヒューマン・コメディ)のフェイスブックのページに知らない方から「いいね!しました」というコメントがたくさん入っているんですね。だからすごく興味を持って聞いてくださったリスナーの方が多かったんだろうなと思って、嬉しいです。ありがとうございました。

「今週のスポットライト」ゲスト:三宅晶子さん(受刑者専門求人誌発行)を聴く

次回のゲストは、「音更ぎょうざの宝永 戸越銀座店」店長・田中美妃さん

10月12日の「今週のスポットライト」には、東京・品川区の戸越銀座商店街にある持ち帰り専門のギョーザ店「音更ぎょうざの宝永 戸越銀座店」の店長、田中美妃さんをお迎えします。十勝平野の真ん中にある音更町の食堂のメニューから始まった北海道の人気ギョーザ「音更(おとふけ)ぎょうざ」にほれ込んで、東京に出店してから間もなく2年。商店街の人気店になっています。

2019年10月12日(土)放送「久米宏 ラジオなんですけど」http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20191012140000

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)