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バリアフリーなグルメガイド▼人権TODAY(2019年10月05日放送分)

人権TODAY

毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回のテーマは…『バリアフリーなグルメガイド』

「バリアフリー」と「グルメガイド」の組み合わせ

今年7月に出版された「MOOK 散歩の達人 首都圏バリアフリーなグルメガイド」。“バリアフリー”と“グルメガイド”という言葉の組合せは、何か新鮮な響きもあるんですが、そもそもどんなきっかけで作ることになったのでしょうか?

編集者/ライター 和久井 香菜子(わくい かなこ)さん
世の中に出ている“バリアフリー”の本って、大体シルバー向けが多いんですけど、私たちの周りには若くて活動的で、もっともっと外に行きたい遊びたいっていうような若い女の子が沢山居たし、逆にちょっと障害が重くて、なかなか遊びに行ける所がないって若い子もいたし。そういう子たちのための情報が世の中に無いなって思って。

和久井さんは、視覚障害者によるテープ起こしなどを行う「ブラインドライターズ」という会社を運営しているのですが、そこのスタッフである視覚障害者や車椅子の方、高次機能障害者の方などとオフ会を開こうとしても、ホントに店が見付からない。そんな経験がきっかけで、この本を企画しました。

この本は、一見普通のグルメガイドなんですが、各店の基本情報として「車椅子で入店出来るか?」をはじめ、「アレルギーに対応してるか?」「ミキサー食に対応してるか?」等々、どんな点が“バリアフリー”になっているかが紹介されています。

バリアフリーなグルメガイド

Accessible point

そんな中でも画期的なのが、和久井さんの会社のスタッフの言葉をヒントに、こんな情報を掲載したことです!

編集者/ライター 和久井 香菜子(わくい かなこ)さん
車椅子の女の子が居るんですけど、彼女は脊椎損傷で指も動かなくて、お手洗いは入れる所が限られているんです。それで彼女に、お店を選ぶ時にどういうところが大事かというのを聞いてたんですけど、お手洗いはまず自分の目で見ないと、使えるかどうかわからないということなので、じゃあ写真載せようかって話になって。

店内の写真

例えば障害者の方が用を足す時に身体を支えるバー。あれがどの位置のどんな高さで設けられているかでも、使い勝手が全く違うわけです。そこで、各店のトイレの写真を巻末近くにINDEXの形で掲載することにしたわけです。
では設備的に“バリアフリー”なお店だけを集めたかというと、そういうわけでもないんです。

編集者/ライター 赤谷 まりえ(あかたに まりえ)さん
段差がこのぐらいある。トイレは残念ながら狭い。だけどもお店の人が障害があるお客様に対して、ごくごく当たり前のホスピタリティーを提供してくれるというような情報を沢山載っけているので。バリアがあることは恥ずかしいことではないので、ただそれを当たり前に情報を出してくれれば、どんな店もバリアフリーになりうるって発見がありました。

設備=ハード面はもちろん大切なのですが、店員の対応などソフト面がホントに重要なんです!
店内の床に段差などのバリアが多少あっても、店員がお客さんをきちんとサポート出来れば、大丈夫。物理的な段差は、心のバリアフリーで乗り越えられるわけです。
  
そしてもう一点、忘れちゃいけないのは、この本は“グルメガイド”だってことです。「おしゃれで美味しい」点にも、強いこだわりを持って、高級レストランからラーメン屋、もんじゃ焼き屋、居酒屋まで、様々なバリエーションの90店を集めました。
そうした取材の中では、こんなお店にも出会ったそうです。

編集者/ライター 赤谷 まりえ(あかたに まりえ)さん
「伊豆栄」っていう上野の鰻の老舗は、3店舗ぐらい在る中、どれも頑張って、バリアフリーを整えて。足の悪いお客様が居る。ベビーカーのお客様が居る。車椅子のお客様が居る。咀嚼の力が弱いお客様が居る。老舗だから沢山のお客様を見ていて、老若男女や国籍を問わず色々なお客さんがので、3店舗それぞれに工夫をしているが、その中で当たり前に、ビルはバリアフリーに建て替えちゃおうって発想があって。

伊達に“老舗”で、長年様々なお客様に対応してきたわけじゃないってことですね!またこの本の取材の中で、良き化学反応が起きたケースもあります。

編集者/ライター 赤谷 まりえ(あかたに まりえ)さん
曲がるストロー置いてますかって質問するんですよ。まあ手が使いづらい障害がある人には、ストローが曲がると、すごく飲み易いんですよね。その方は、私がそのインタビューしたことで、ストロー、曲がるストロー用意しましたって話していて。良い影響をお互いに交換出来たんじゃないかな。

取材する側と取材される側でお互い気付きが多かったというこの本ですが、究極的にはこんなところを目指していきたいということです。

編集者/ライター 和久井 香菜子(わくい かなこ)さん
社会の意識を変える1冊にしたいっていうのは、よく言っていて。“バリアフリー”であることというのは、ある特定の少数の人のためのサービスではないんだっていうのは、すごく伝えたい。
結局その“バリアフリー”である、ソフトが整っている、ホスピタリティーが良いってのは、私達にもすごく感じの良い店なんで。

出版後の反応としては、障害者の方からの声で、今までお店は「探すもの」だったけど、この本のお陰で「選べる」ようになったという声が届きました。
その一方で、“首都圏”だけでなく“地方版”の「バリアフリーなグルメガイド」が欲しいというリクエストも来ています。
また今回は“視覚障害者”が読むことは出来ない本になったので、今後はその辺りも含め、更なる展開を考えていきたいということです。

表紙:バリアフリーなグルメガイド

★「MOOK 散歩の達人 首都圏バリアフリーなグルメガイド」
 交通新聞社
編集製作;和久井香菜子、赤谷まりえ
定価 1,400円+消費税
全国の書店やオンライン書店などで発売中。

担当:松崎まこと(放送作家/映画活動家)