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タイのHIV児童施設「バーンロムサイ」

人権TODAY

毎週土曜日「堀尾正明+PLUS!」内で8:15頃に放送している「人権トゥデイ」。
様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

タイのHIV児童施設「バーンロムサイ」

今回は、タイ北部・チェンマイ近郊の村にある
「バーンロムサイ」という児童施設のお話です。
この施設では、HIVに母子感染した上に、
親をエイズで亡くすなどした子供たち、
2歳から17歳までの30人が生活しています。
1999年に日本人の名取美和さんが寄付を募って開いた
この施設の15周年を記念した展示会が
先月、都内でありましたので取材しました。

展示会場に入ると、色鮮やかな子供たちの描いた絵が
目に入ってきます。
この絵について、名取さんのお話です。

名取美和さん
「それぞれが何らかの形で自分の能力を生かして、
 それで稼いでいこうというところから、
 開園した次の年から子どもたちに絵を描いてもらって、
 その絵を使ってカードを作る。
 次の年はその絵の原画を販売する。
 そうすれば、なんとなく自分で稼ぐということは
 計画が立つわけですよね。
 寄付だけに頼っていると全く計画が立たなくて、
 来年どうなるかわからない。
 だから、子どもたちのもちろん自立もあるんですけど、
 私たち自身の団体も自立したい。
 今で言うところの「事業型NPO」のはしりだと思います。」

最初は「絵を書くことが免疫力の強化にもなる」として
始めたんです。
数年は、エイズを発症して亡くなる子供も多かったんですが、
薬の進歩で発症を抑えられるようになってきました。
そうなると、施設の維持が課題となり、
収入源を探したんですね。
施設内には縫製場もあり、近くの村に住む
大人のHIV感染者や少数山岳民族の女性が衣類や雑貨を作り
それらを売ってお金にしています。
たとえば、民族衣装の生地を再利用した財布やポーチ、
ネコの形のクッションなどもこの日は展示されていて、
買い求める姿もみかけました。
特に、民族衣装をリメイクした財布などは、
色が鮮やかでカラフルで刺繍もとっても細かく、
手の込んでいる品だと思いました。
展示は終わってしまいましたが、
日本でも、鎌倉にある店舗やインターネットで
買うことが出来ます。
私たちが普通に買い物をする、という行為が、
そのまま支援になっているわけです。

緑豊かで、のんびりした村にあるので、
日本人を含む外国人観光客向けのゲストハウスも施設内に作り
収入としています。
もちろん、まだ完全に自立しているわけではなく、
例えば、薬代は年間1000万円にもなりますが、
今のところ無償で提供されています。
そして、現在抱えている課題は、
子供が18歳、つまり大人になった後、
施設を出てどうするのか、ということです。
身寄りもなく、偏見も消えたわけではないので、
施設にいるうちに手に職を持たせてあげようと
縫製場やゲストハウスで仕事の手伝いをする子もいる
ということです。

取材した日は、名取さんと日本人医師のトークイベントも
開かれ、話は施設の現状から、日本のHIV/エイズの
現状まで及びました。
日本でも感染者が決して減ったわけではない
HIV/エイズについて、お客さんに聴いてみました。

お客さん
「あまり日本では、HIVへの正しい知識というのがないので
 自分も本当のところを知りたいなと。
 あまり関心は一般の人は薄いんじゃないですかね。
 そんなに知識はない、学校でちょっと習うぐらいで。
 それこそ日本の人は、それを隠して生きてる人が
 多いなというのは感じましたね。」

トークイベントでも名取さんは
「日本では、HIVについてメディアもあまり取り上げない。
それから「エイズってまだあるんですか」という質問を
受けたこともある」と話していました。
また、名取さんは、日本とタイを比べて、こう話します。

名取美和さん
「日本のかたの方が大変だと思いますね。
 逆に日本の方が、差別と偏見はあると思うし、
 日本はやっぱり自分たちと違う人、いろいろ障害を
 持ってる方にしても、それから年寄りに対しても、
 何かカテゴライズしちゃって
 そういう人がいて社会っていうものが成り立ってるって
 いうんじゃくて、どちらかというと、社会っていうのは
 「本当はこんなにきれいなもので、あなたたちは邪魔ですよ」
 みたいな形になりやすい国ですよね。
 だから、そういう人たちがいても当たり前の社会っていうのは
 どちらかというとタイの特に田舎、
 バンコクはまた都会で違うのかもしれませんけど、
 田舎では弱い人がみんなをサポートしている。
 だから日本よりもずっとタイの方が過ごしやすいですよ。」

もちろん、タイでも差別が無いわけではありません。
バーンロムサイが出来た当時は、近くの村の人たちと交流が
全くなかったそうです。
しかし、施設に図書館ができ、プールができ、
サッカーチームができると、村の大人が利用したり、
子供が一緒に遊んだりするようになってきて、
今では親が子どもに「どこ遊び行くの?」「バーンロムサイ」
「なら安心ね」というくらい、壁がなくなったそうです。

最後に、名取さんは「私たちのバーンロムサイでの取り組みが
何か日本社会を考えるきっかけにもなってほしい」と
話していました。

担当:進藤誠人

<関連情報・お問い合わせ先>
「バーンロムサイ」 ホームページ
http://www.banromsai.jp/