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放送中

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すごいぞ! 気象研究所台風研究部

久米宏 ラジオなんですけど

TBSラジオで毎週土曜日、午後1時から放送している「久米宏 ラジオなんですけど」。
7月23日(土)放送のゲストコーナー「今週のスポットライト」では、気象庁気象研究所台風研究部の山口宗彦さんをお迎えしました。

山口宗彦さん

台風というと日本では夏から秋といったイメージがありますが、熱帯の海上では早い年は1月に、普通でも春には台風1号が発生しています。ところが今年(2016年)は7月3日になってようやく台風1号が発生。これは観測史上2番目に遅い記録です(一番遅かったのは1998年7月9日)。1号の発生がこれだけ遅いと、秋になって台風が集中するのでは? 被害が大きくなるのでは? と、いろいろ心配になります。

スタジオ風景

そこで台風予測の専門家を探したところ…。ありました! その名もズバリ、気象研究所台風研究部。気象研究所は気象庁の研究機関。気象庁の本庁は東京・大手町ですが、気象研究所は茨城県つくば市にあります。その中で、台風の進路や強さを予測するシステムを研究開発しているのが台風研究部なんです。

山口さんは2002年から気象庁に勤務。はじめの6年間は本庁の予報部で、台風の「進路予測」、スーパーコンピュータを使った新しい予測システムの開発に携わりました。2008年にはハリケーンの研究で最先端を行くアメリカのマイアミ大学に留学。そして2010年からつくば市の気象研究所台風研究部で、台風予測システムの精度を高めるための研究を重ねています。つまりずっと台風の予測システム研究に関わっているエキスパートなんです。

スタジオ風景

今の台風の予測・予報は国内外の気象データをたくさん集めて、それをスーパーコンピュータを使って分析し、将来の大気の状態をシミュレーションしているんです。これを数値予報といって、今や世界の台風(をふくめた気象)予測の重要なキーポイントになっています。気象は不確定な要素がいくつもあるので、コンピュータに入力する数値がわすかに違うだけで、いろいろな予測結果が出てきます。ですから数値予報の結果をできるだけ大量に集めて、それを重ね合わせて予報を出しているそうです。たくさんの予報結果を重ね合わてもだいたい同じような進路になる時はそれだけ予報の信頼度が高いということ。反対に、予報結果にバラツキが多い時はそれだけ不確定さが多いということになります。

このやり方は「アンサンブル予報」というもので、その精度をいかに高めるか、国際的な競争が激しくなっているのだそうです(ちなみに「アンサンブル」とは「重ね合わせる」という意味です)。そして、アンサンブル予報の精度が以前より高くなったので、天気図に描かれる台風の「予報円」が今年から今までより小さくなりました。みなさん気づいたでしょうか?

山口さんは今、台風が発生する日をいち早く予測する研究にも取り組んでいます。熱帯の海上で積乱雲がたくさん集まってきて、それが台風になりそうな気象状況があります。山口さんはそういう状況を「台風の卵」と言っていましたが、卵から台風が生まれるだいたい2日ぐらい前には、台風の発生を予測できるようになっているのだそうです。

ドロップゾンデ

私たちが台風を気にするのは日本列島に近づいてきてからですが、東アジアの国では発生してから2日ぐらいで台風が上陸しますから、卵の時点でできるだけ早く、なおかつできるだけ精度よく予測できれば、被害を食い止めることにもつながるのです。山口さんたちの研究は日本の私たちだけでなく、東アジアの人たちの生活にも深く関わっているんですね。ちなみに山口さんは、いつも折り畳みのカサを用意しているのだそうです。「気象庁の人間が、雨に降られて濡れていたら笑われてしまいますからね」。さすが台風研究部!

山口宗彦さんのご感想

山口宗彦さん

気象の分野について生放送でいい加減なことは言えませんので気をつけましたが、久米さんが上手くリードしてくださったのでとてもしゃべりやすかったです。久米さんが私の本を非常に読み込んでいらしたことが会話の中で分かったので、とても嬉しく思いました。

なかなか私たちの研究の内容や成果を外部の皆さんにアピールする機会がないので、今日のように分かりやすい形で普段の研究内容をお伝えできたことは非常に機会だった思います。ありがとうございました。