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働きたい発達障害者を訓練して、企業とつなげる

人権TODAY

毎週土曜日「堀尾正明+PLUS!」内で8:15頃に放送している「人権トゥデイ」。
様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

働きたい発達障害者を訓練して、企業とつなげる

発達障害の方に対してパソコンを使った職業訓練をして企業への就職を
サポートしている企業を澤田大樹記者が取材しました。

この訓練を行っているのは株式会社Kaien(カイエン)です。
ここでは国や都から委託されて発達障害の人に対する職業訓練を行ったり、
企業への就職のサポートを行っています。
なぜ、発達障害の人をサポートする会社を始めたのか、
社長の鈴木慶太(33)さんに聞きました。

鈴木慶太さん
『 自分の子どもが自閉症と診断されたんです。発達障害ですね。
 そう診断されたことが一番大きいですね。それと、アメリカで経営学の
 勉強を大学院でしてたんですけども、そこで自閉症スペクトラム、
 アスペルガー、広汎性発達障害の方を活用しているソフトウェアの会社が
 デンマークにあることを知ってそれに感動したというのも大きいですね。
 その2つがなければなかなか事業を始めようとは思わなかったです。』

御自身のお子さんが発達障害と診断されたことがキッカケだったんですね。
はじめは別の仕事をしながら、NPOなどの形でこういった活動を
しようとしたそうですが、まだ年齢が30代前半だったということで
思い切って社長として、はじめたそうです。

Kaienで訓練しているのは「自閉症スペクトラム」と診断された人たちです。
なかなか聞きなれない言葉ですが、自閉症スペクトラムとは
アスペルガーや広汎性発達障害などを含む発達障害のひとつです。
先天的な脳の機能障害で、4:1の割合で男性がなりやすいとされています。
特徴としては、コミュニケーション能力の低さと物事へのこだわり、
繰返し行為等が挙げられます。

この職業訓練にはどんな人が来ているんでしょうか?
再び、鈴木社長の話です。

鈴木社長
『 当社に来る方の平均像でいうと、20代から30代前半ぐらいまで。
 皆さんが知ってるような有名大学を卒業しているケースが
 圧倒的に多いです。勉強するというのは知的水準の高い発達障害の方が
 得意な分野。それはやっぱり彼らの強みである視覚化、構造化という
 世界では戦いやすい部分。ただ、いわゆる社会に出て、就職すると、
 視覚化、構造化の全くないスクランブル状態に置かれますので、
 やはり弱さが出てしまうんですね。だからそこで翼の折れかかっている
 人たちがKaienにくるっていう感じですね。』

就職したあとは「スクランブル状態」に置かれて弱さがでるというのは
どういうことなのかというと、自閉症スペクトラムの人は知的レベルが高くて、
パソコンを使った緻密な作業やルールの決まった反復作業などでは
高い能力を発揮できるそうです。

ただ、いわゆる「空気を読む」ということが苦手なので、上司からの指示を
うまく受けられなかったり、連絡や報告をしないまま物事を進めて失敗したり、
お客さんに対してうまくコミュニケーションが取れなかったりしてしまいます。
そういったことが重なり、仕事をやめたり休職したりして、
診断を受けて発達障害とわかるケースが多いそうです。

コミュニケーションをとれるようすることがカギのようですが、
具体的にKaienではどんなことをしているのか、鈴木社長に聞きました。

鈴木社長
『 内容は一般の大企業の事務の人がやる内容だとかIT部門の一部の人が
 やる内容だとか実際の仕事に近いものをしてもらって、
 報告してもらう形にしていますね。
 それによって彼らの強みは見えてきますし、すごく質とか量とか
 高いプログラムなんですね。なかなかできないので、
 必然的に質問をしなくちゃいけない。
 そこで彼らの苦手な対人能力をアセスメントしたりして
 対策を練ったりということになっています。』

簡単に言うと、わざと中身を難しくして、周りの人とコミュニケーションを
とるように仕向けているわけです。
そして、鈴木さんは受講生の特徴を2つ挙げていました。

ひとつは自分を客観視することが難しいこと、もうひとつは物事の見え方のズレが
あることだそうです。
そこで、訓練では仕事ができない自分を自覚させたり、自分の仕事がどこまで
到達したか数値化したり画像化して目に見えてわかるようにさせているそうです。

で、訓練の効果はどうなんでしょうか?
受講生に、実際訓練を受講してみての感想を聞きました。

受講生
『 私は職歴がないんですけれども、こういった具体的な業務の中で
 行われるような作業を体験できるというのは非常に自信になります。
 PCを使っての作業をしてみて自分に合っているなと言う感触を
 受けましたので可能であれば、PCを使う職種につくことが
 できればなと思っております。』

自分にあった作業が何かを知ることが大事なんです。
2ヶ月間の訓練で障害を持った方に身についているのは、パソコンのスキルよりも
これまで自覚できなかった自分の得意な部分と得意でない部分がわかることだそうです。
ただ、実際に高い能力があったとしても、企業は発達障害に対して偏見があり、
実際に就職につなげることは簡単ではないそうです。
しかし、1人採用した企業が、その後何人も採用してくれるようになった。
どう付き合っていけばいいかがわかれば、自閉症スペクトラムの人の集中力に
驚いてむしろ周りが刺激されたという企業もあるそうです。

Kaienの鈴木社長は「同じような人ばかり採用していては、企業は硬直化する。
多様な人を迎え入れることで企業を活性化できるのではないか」と話していました。

障害の「ある」「なし」に関わらず、人をどう適切に配置できるかが
企業の力に結びつくということを忘れてはいけないですね。

<関連情報・お問い合わせ先>
株式会社Kaien
http://www.kaien-lab.com/

担当:澤田大樹