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注目の新素材セルロースナノファイバー、さらにカニ殻からも新素材!!

森本毅郎 スタンバイ!

森本毅郎・スタンバイ!ロゴ

 

今日は、日本で開発され国内はもとより世界からも注目されている新しい素材のお話。それは「セルロースナノファイバー」というもの。木材や植物から作られるもので、世界を大きく変えるかもしれない次世代の素材だといいます!そこで・・・。

「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!

今日9月13日(火)は、レポーター近堂かおりが『注目の新素材セルロースナノファイバー、さらにカニ殻からも新素材!!』をテーマに取材しました!

現場にアタック(近堂かおり)

現場にアタックレポーターの近堂かおり

いったいどんな素材なのか、セルロースナノファイバーの研究者に聞きました。東京大学教授の磯貝明さんのお話。

★植物由来の軽くて強い素材です!

磯貝明さん
植物の重量の40%が『セルロース』という多糖類で、自分の体を支えるために非常に優れた構造を持っているんですけども、それを3ナノメートル幅に完全にばらばらにする方法を偶然見つけたんです。セルロースナノファイバー1本の強度というのは鋼鉄の5倍。ところが1立方センチメートルあたりの重さは鋼鉄の5分の1。軽いわけです。軽いのに5倍の強度があるということが分かったので、飛行機や自動車など、軽くて丈夫なものに置き換えていけるのではないかということで、ちょっと注目されているんです。

セルロースナノファイバーは「ポスト炭素繊維(カーボンファイバー)」と期待されています。現材料は紙と同じパルプ。木材などの植物繊維。水に化学薬品を加えてそこに植物繊維を入れてよくかき混ぜると、長さ3ナノメートルの繊維が取り出せます(1ナノメートルは1ミリメートルの100万分の1)。

木材からセルロースを取り出すことは非常に難いのですが、実は磯貝さんが簡単に取り出す方法を世界で初めて発見。それで2015年「森のノーベル賞」といわれる世界的な賞(スウェーデンのマルクス・ヴァレンベリ賞)を受賞。「ちょっと注目されている」と謙遜なさっていましたが、今、世界中で開発競争が始まっています。セルロースナノファイバーは炭素繊維に近い強さと軽さが特徴。さらに、原料が植物なので、うまくすれば原料を何度も再生して使うことができる。また、植物は二酸化炭素を吸収するので温暖化対策にもなる。このような点で石油由来の炭素繊維より優れています。

どんな分野に使われるかというと、すぐに思いつくのは飛行機や自動車のボディ。ところが、そのほかにも研究者が思いつかなかった分野で応用されそうなんです。再び磯貝さんのお話です。

★ボールペン、おむつ、アイスにも!?

磯貝明さん
ソフトクリームに入れると置いておいてもなかなか形が崩れないとか、そういう新しい機能があるということが見つけられましたので、いつまでも…まあ、ソフトクリームを買ってから30分もそのまま持っている人がいるかどうかというのは課題かもしれないですけど…(笑)、実際に使われるのは意外な分野。今、実用化されているのは、ボールペンのインクだまりができないようにするとか大人用使い捨てオムツの消臭機能に使うということは、最初は誰も予想していなかったのでそういう予想もしていない分野から少しずつ広がって、どんどん使われるようになるのではないかと期待しています。
セルロースナノファイバー配合のSigNO。書き味抜群です!

セルロースナノファイバー配合のSigNO(三菱鉛筆「ユニボール シグノ307」)。書き味抜群です!

すでに製品化されているのはボールペンのインク、大人用使い捨てオシメ。開発中のものでは、ガラスのように透明だけど曲がる素材…例えば超薄型(シート状)のスマホやタブレット。あとは食品や化粧品など。とにかく今までにない素材なので、どう使いこなせばいいかまだ分からない部分も多いとか。そこで経済産業省も国内の研究機関や様々な企業に広く声をかけて、とにかくみんなでいろいろなアイデアを試してみようとしているところ。こうして、にわかに活気づいているセルロースナノファイバーなんですが、植物以外からも同じような次世代の新素材を作り出した方がいました。

★「カニ」からナノファイバー!?

鳥取大学准教授・伊福伸介さん。伊福さんが手がけるのは「キチンナノファイバー」。何から作り出したかというと、「カニ」。伊福さんは元々、京都大学でセルロースナノファイバーを研究していたのですが、それがどうしてカニになったのか? ご本人にお聞きしました。

伊福伸介さん
1年間バンクーバーに留学していたときに、鳥取大学の教員採用試験の話をいただいて、アイデアを練っていたところ、鳥取はカニが特産でして、だいたい全国の半分近くは鳥取県内で水揚げされます。きっとカニ殻が大量に出てくるだろうということで、元々、セルロースとカニ殻の主成分である『キチン』は親戚のような物質だったので、カニ殻からもきっとナノファイバーが作れるんじゃないかと考えました。

カニ殻にもセルロースと似たような成分があって、それが「キチン」。これをナノファイバーとして取り出せればセルロースナノファイバーと同じような素材が作れると伊福さんは考えました。思いついたときには確信はなかったそうですが、チャレンジ。鳥取の旅館でカニ殻を分けてもらったり、スーパーでブラックタイガーを買い込むなどして、研究を重ね、見事成功!
ただキチンナノファイバーの場合、軽くて強いというだけでは、原料の豊富さやコストの面でセルロースファイバーに太刀打ちできないのでは…と心配になり、伊福さんにお聞ききしてみました。

★健康や美容を促す効果に期待!!

伊福伸介さん
キチンナノファイバーは生理機能、美容と健康を促すような効果があることが分かってきたので、その点でセルロースナノファイバーとのすみわけができると考えています。一つには、肌に塗りますと緻密なバリア膜が角質層にできて肌の細胞の状態を長時間にわたって新鮮に良い状態に保つことができます。あとは肌の保湿効果があります。ほかにもケガの治りを早くします。

本来、キチンは水やほかの物質と混ざりにくいものなんですが、うんと細かいナノファイバー状にするといろいろなものに混ぜることができて、そのモノの機能や性質を補強したり変えることができるそうです。実はこちらもすでに製品化したものがあります。それは保湿液。カニ殻から取り出したキチンナノファイバーを配合し、乾燥や外部刺激から肌を守るようにしてあります。

素肌しずく うるおいミルク

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キチンナノファイバーによって、鳥取県内で今まで大量に廃棄されていたカニの殻を有効活用する道もできました。伊福さんもいろいろな企業に声をかけてアイデアを募って実用に向けて動き出したところです。日本は、これまで炭素繊維やカーボンナノチューブといった新素材を世界に先駆けて作ってきたわけですが、次世代の素材は”環境への貢献”も期待。実際に世に出てくるのは木材が先か? カニが先か?


TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」は月~金6:30-8:30放送中。
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