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放送中

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メイクで元気に

人権TODAY

毎週土曜日「堀尾正明+PLUS!」内で8:15頃に放送している「人権トゥデイ」。
様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

メイクで元気に

顔の傷や「あざ」をカバーして、社会復帰を支援する
「化粧=メイク」が様々な医療の現場で注目されています。

波岡陽子・情報キャスターが取材したのは
東京・新宿区の東京女子医科大学女性生涯健康センター。
フェイシャルセラピストのかづきれいこさんが提唱している
「リハビリメイク」の外来があるんです。

「リハビリメイク外来」のある東京女子医大の女性生涯健康センター

「リハビリメイク外来」のある東京女子医大の女性生涯健康センター


取材した日に来ていた二人の女性に話を聞くと、
山形から来たという1人の女性は
「自分がちょっと変われるかな、と思ったんです」
と話します。

この女性は福祉施設関係の勤めをしているのですが、
高齢者がお化粧をしてもらって、表情とかすごく変わるところを
見たことがあるそうです。

また、もう1人の30代の女性は
「逆さまつげの手術をして、その痕が残ってしまって、
 人と目を合わせたりするのがすごく苦手になってしまった」
と話します。

このまま人としゃべれなくなってしまうのは、
人生もったいないと思い、勇気を出して来たそうです。

女性生涯健康センターの加茂登志子所長の話では、
アザや傷跡のある方だけではなく、皮膚の病気の方や、
メンタルな部分で悩みを抱えている方も来るということです。

「リハビリメイク」の診察室は、机にカルテと一緒に
メイク道具が並んでいる以外は普通と変わりません。

そして、すぐにメイクをするのではなく、
まずは「カウンセリング」です。

家族のこと、どんな生活をしているか、メイク以外も
悩んでいることはないか、等々、かづきさんが1人1人に
親身になって話を聞きます。
中にはこれまで話せなかったこともあるのか、
泣き出す方もいました。

その後メイクを開始するんですが、最初は顔の半分にメイクを施します。
半分の化粧で自分の顔がどう変わるのかまず分かってもらうんです。

山形から来た女性は鏡をのぞくと、
「すごいですねえ。覚えて帰りたいです」と大きな声をあげました。
かづきさんは「元気になれるでしょ」と声をかけます。

波岡キャスターのインタビューに答えるフェイシャルセラピストのかづきれいこさん

波岡キャスターのインタビューに答えるフェイシャルセラピストのかづきれいこさん


このように、かづきさんの提唱する「リハビリメイク」の目的は、
メイクそのものではなく、「元気になること」。

元気になるメイクは1人1人のおかれた状況によって違います。
その人にあったメイクをするためにまずはじっくり話を聞くんです。

さて、顔の残り半分はスタッフが本人と手順を確認しながらメイクします。

これは普段「自分でメイクできる」ようになるため。
自分でできると自信にもつながり、生きる意欲が湧いてきます。

診察を終えた30代の女性に聞きますと、メイクの効果に
びっくりしながら
「人にもちゃんとニコニコと話ができそうです。
これで少しずつでも自分の顔を受け入れていけるかな、と思います」
と話していました。

かづきさん自身子供の頃、心臓の病気のために冬になると
顔が真っ赤になり、それをメイクで「隠して」いました。
しかし、隠すために化粧品を厚く塗るので、くずれたりして
余計誰にも会いたくなくなっていました。
だから「リハビリメイク」は「隠す」ことが最終目的ではありません。

かづきさんは
「お化粧できれいに隠す方法を覚えても、1年くらいすると化粧なしで来ます。
 化粧なしで来た彼女たちに聞くと、どっちでもよくなった、
 いずれ化粧できますからあまり気にならなくなった、と言うんです。
 それが社会復帰なんです」
と話していました。

自分に自信を持つと、メイクが必要なくなります。
「自分が何の気なしに毎朝やっている化粧が、
 様々な悩みを抱えた方の社会復帰につながっているんだな」
と波岡キャスターは感じたそうです。

女性生涯健康センターの加茂所長の話では、女子医大では
医学的なデータも集め、メイクの持つ「効果」が
少しずつ証明されてきているそうです。

お化粧=メイクは 「病気」そのものを直すだけでなく、
QOL=「生活の質」全体をあげていく一つの大事な手段なんですね。

かづきさんは老人ホームや少年院などでもリハビリメイクを行い、
大変多忙なんですが、これからは「教育」に力をいれるつもりです。
それは「化粧をしなくてもいい日本を作りたいからだ」と話します。

「自分の顔を受け入れられる」ためには、周りの人も
変わらなくてはなりません。

かづきさんは
「私たちは小さい頃から美しいものが善、醜いものが悪、だと教えられがちです。
 しかし、顔に傷があっても、だから醜いということはないですし、
 老いることも醜いと思われがちですが、老いたなりの綺麗さ、
 その人らしさというものがあります。
 それがわかるような教育に取り組みたい」
と話していました。

担当:波岡陽子