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放送中

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聴覚障害を持つ学生を支援する

人権TODAY

毎週土曜日「堀尾正明+PLUS!」内で8:15頃に放送している「人権トゥデイ」。
様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

聴覚障害を持つ学生を支援する

聴覚に障害を持つ大学生がより学びやすい環境を作ろうと、
大学のキャンパスでは様々な支援が行われています。
その一つが「ノートテイク」。
講義で先生が話したことなどをノートに「文字」で書いて、
授業内容を伝えます。

早稲田大学で行われているノートテイク講座

早稲田大学で行われているノートテイク講座


中村愛美・情報キャスターが取材した東京の早稲田大学では、
同じ学生の中からボランティアを養成しようと
数年前からノートテイク講座が開かれています。

数ヶ月おきに講座は開かれていて、10月に開かれた4回の講座には
20人が参加。初回の90分は、ノートテイクの必要性について
理解してもらったうえで、実際話す内容を紙 に書いて、
「読みやすく大きな字を書く」コツや「内容を要約する」コツを
学んでいました。

中村キャスターも2分程度の日常会話を書き取る練習を
やってみたんですが、けっこう難しく、
「大学の講義だと、もっと難しいだろうな」と感じたそうです。

参加者に話を聞くと
「一見簡単そうにみえるけど、実際には難しい」
という声が返ってきました。

それでも皆さん一生懸命取り組んで、講座を修了した後
全員ノートテイカーのボランティアとして登録したそうです。

早稲田でノートテイクの支援を受けている学生は、
現在大学と大学院合わせて5人。

中村キャスターは2年の奥寺渉さんが
「心理学」の講義を受けているところを取材しました。

早稲田ではノートテイカーは2人つきます。
両隣に座り、講義が始まると、1人が先生の話す内容をノートに
書き込んでいきます。
ただ、「言葉だけ」ではわかりにくい部分もあるので、
もう一人は配った資料のどの部分を今先生が説明しているのか
指し示したり、ポイントとなりそうな用語だけを
書き取ったりするんです。
ノートを1ページ書き終えると役割を交代して作業を続けます。

奥寺さんについて半年という伊賀さんは、
「先生の意味合いの強弱や感情を伝えたいと思うので、(笑)とか、
 !!マークを使ったりしています。
 また一言一句全部書くのではなく要約するわけですが、
 もちろん自分の解釈ではいけないので、難しいとところです。
 そこは経験ですね」と話します。
またもう1人の伊藤さんは
「例えば先生が冗談を言ったら、それもすべて書くことで、
教室の和やかな雰囲気を伝えます」と話していました。

奥寺さんは内容やメモを見ながら真剣にうなずいたり
時には笑みを浮かべたりしていましたが、
授業の後に話を聞きますと、
「小・中・高の授業はほとんど内容がわからず、出席をとるために
 教室に座っているようなもので、後で自分で勉強していた」
そうです。
しかし
「大学に入ってからは、講義の内容も雰囲気もわかるので、
 やっと参加してる気持ちが持てた」と話していました。

授業後に学生たちに話を聴く中村キャスター

授業後に学生たちに話を聴く中村キャスター


ラグビーの部活も忙しいという奥寺さんですが、将来は先生をめざすか、
心理学の勉強をもっと続けるか、今考え中だそうです。

また、ノートテイカーの伊賀さんは親戚に聴覚に障害を持つ人がいたので、
以前からノートテイクの重要性を知っていたそうですが、
伊藤さんは大学で手話サークルに入るまでは全く知らなかったそうです。

「テイクを始める前は、情報は保障されているのが当たり前という状況で、
 自分がちゃんと万全な形で講義を受けられているという自覚が
 あまりなかったんですが、保障する側になって、
 情報の大切さというものがわかりました。
 自分も真面目に講義を受けるようになったとは思います」
と話していました。

早稲田大学では以前は手話サークルが中心になって行なっていましたが、
今年大学に「障がい学生支援室」が設けられ、大学側も本腰を入れて
取り組み始めました。

聴覚障害者が在学している大学のうち、およそ半分でノートテイクの
支援が行われているとみられます。

早稲田のように大学がサポートしたり、学生の手話サークルが運営したり、
友達や外部のノートテイカーの協力を求めたりと方法は様々です。

障害をもつ学生も当たり前にキャンパスでの生活を
楽しめるようなサポート体制が広まりつつあるようです。

担当:中村愛美