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不妊治療経験者のおしゃべり会。当事者が抱える悩みとは?

人権TODAY

毎週土曜日「堀尾正明+PLUS!」内で08:15頃に放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回のテーマは・・・「不妊治療経験者のおしゃべり会。当事者が抱える悩みとは?」

不妊治療当時の辛かった経験をスピーチ

子供が欲しいのになかなか妊娠しない、そんな不妊について悩む人たちが語り合うイベント「Fine祭り2016 全国おしゃべり会special」を取材してきました。
このイベントは「NPO法人Fine」という不妊当事者による自助団体が主催し全国6か所で開催され、私は10月16日に行われた東京会場に伺いました。イベントの前半は、不妊治療経験者によるスピーチが行われ、発表者の1人、岡田麻衣子さんは自身の体験についてこう語りました。

不妊治療経験者 岡田麻衣子さん
「不妊治療は、37歳から44歳まで、トータルでおよそ6年間ほど行いました。長い治療では、心もぼろぼろになりました。陰性の結果を見るたび、吐きそうな感覚で泣いたり、浴びるようにお酒を飲んだりしました。治療に使ってきたお金のこと。我慢してきた数々のこと。私が治療中に思っていたこと、それは「わかる人に話を聞いてほしい」という思いでした。」

岡田さんは6年間かけて、さまざまな不妊治療を試しました。最初は、排卵日に合わせて性交渉を行うタイミング法を行ったもののうまく行かず、その後人工授精や体外受精とステップアップしようやく子供を授かりましたが、例えば体外受精では一回の治療に40~50万円。治療が高度になるこほど費用も高額になります。それでも必ず妊娠するわけではなく、治療を断念する方も少なくありません。一体いつになったら妊娠できるのか?という不安や、親族からの「子供はいつできるのか?」というプレッシャー。パートナーとのすれ違い。そんな悩みを誰かに打ち明けたくても、不妊治療のことをオープンにできず、相談しづらい。そんな背景から、NPO法人Fineでは8年前からおしゃべり会を開催しています。

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私が行った東京会場は、およそ100名が参加し、岡田さんのように当事者が体験談を語る第一部では、ご自身の体験と重ねてか涙を流している方もいました。そのあと第二部は、参加者全員が自由に語り合うおしゃべり会。こちらは参加者以外をシャットアウトした内容だったのですが、不妊の悩み別に、少人数のグループを作って語り合ったということです。つまり同じ不妊経験者でも、悩みは異なってくるということです。例えば岡田さんの場合、不妊治療の末に赤ちゃんを授かった今も、こんな悩みを抱えているといいます。

不妊治療を経て子育て中の今も葛藤・・・

不妊治療経験者 岡田麻衣子さん
不妊治療中は妊娠したら万々歳でバラ色の日々だと思ってたんですけれども、また違った悩みがスタートしたりとか、体外受精で授かったことをどこまでオープンにするのかという葛藤もあったりするので、分かる人に話を聞いて欲しい、話をしたいというのがありました。Fineでは不妊を経て出産・子育てをしている「マナティークラブ」というチームもあるので、そこではそういった仲間と気を緩めて話ができるっていうところはありますね。

岡田さんは、自然妊娠で産んだお母さんと話すとき、どこか違うという感覚があり、常に緊張していた、と言っていました。Fineでは、不妊治療を経て子育て中の仲間と語り合える「マナティークラブ」という集まりも、月1回行っています。
一方、今回の「おしゃべり会」でスピーチをしたもう一人、小宮町子さんは7~8年不妊治療をして子供を授からず、最終的には治療を辞めるという決断をしました。小宮さんは今の想いをこう語っています。

家族の形はそれぞれ。不妊でも堂々と生きる

不妊治療経験者 小宮町子さん
私は子供が授からなかったし、お金もいっぱい使っちゃったし、仕事も、治療との両立ができなくて辞めてしまいました。だからといって人生がお先真っ暗で、希望も何もないという事はないので、こうして堂々と生きています。不妊であることは特別なこと?人には言えない悪いこと?家族の形もそれぞれ。多くの中から生き方を選んでいいんです。

小宮さんは、参加している自治会で子供と触れ合ったり、友人の子供と遊んだりすることで、十分に、子供と過ごす楽しさを感じられたといいます。不妊治療を辞めた方の中には、不妊を経て里親や養子縁組という形で子供を育てている人もいます。
一方で、小宮さんは仕事との両立が難しかったという点にも触れています。不妊治療は、排卵周期に合わせて通院する必要があるため、急に休まなければならないこともあり、結局仕事は辞めてしまったということです。この「不妊治療と仕事の両立」については、新たなサポートが始まる兆しが見えてきました。
NPO法人Fine理事長、松本亜樹子さんのお話です。

政府が「不妊治療と仕事の両立」の実態を調査へ

NPO法人Fine理事長 松本亜樹子さん
仕事をしながらでも治療しやすいような、社会風土、企業風土を作って頂きたい。そのためには企業の皆様に協力していただきたいし、政府の方から何らかのサポートをしていただけるような要望書を提出して、やっとこの間のニュースで、政府が来年の春からそういったことに取り組みをしていただけるということが分かったので、やっとちょっとずつ環境は整い始めて来てるかなという気はしてますね。

10月12日、菅官房長官が記者会見で、来年度から不妊治療に関する実態調査をした上で、仕事を続けながら不妊治療を行えるよう必要な支援をしていきたいと表明しました。つまり国も、ようやく動き出したということです。

(担当:中村友美)