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再犯防止のための職業体験

人権TODAY

毎週土曜日「堀尾正明+PLUS!」内で08:15頃に放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回のテーマは・・・若い世代の「再犯防止」に関する話題です。

少年院・刑務所を出た人や、親の虐待等で児童養護施設に入っていた子が施設を出た後、帰る先や働き口がなく再び罪を犯す人がいます。法務省の『犯罪白書』(平成27年版)によると、保護観察となった少年が、再び罪を犯したり非行に走ってしまうケースは、職のある人よりも無職の方が、約4倍も高いという数字も出ています。

人権トゥデイ

『平成27年版 犯罪白書』保護観察対象少年の再処分率(終了時の就学・就労状況別)

そこで、出所後の若い世代の自立をサポートしているセリエコーポレーションの代表、岡本昌弘さんにお話を聞きました。

セリエコーポレーションの活動内容

「11年前から横須賀で建設業を営みながら、児童養護施設・少年院・刑務所に行って帰る家がない子たちを、「とびの仕事」「住まい」「親代わり」の3点セットで雇い入れをしてきました。6畳1人1部屋で共同生活しながら、東京都内・神奈川県内の各建設現場に通うという形です。私も19で鳶を始めましたが、18の頃に、生きるか死ぬか捕まるかのどん底まで行ったんです。でも、いろんな大人の方たちにお世話になって、手に職つけて社長になれた。次は、自分がそういう子たちを受け入れして行けたらいいな、と言うことで始まりました。」
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セリエコーポレーション代表 岡本昌弘さん。

やはり仕事に就くことが更生には欠かせないので、岡本さんは、「自分の建設会社の仕事」「住まい」「親代わり」の3点セットを11年間提供し続けてきたとのことです。ちなみに、運営費はすべて自腹。最初の一ヶ月の生活費は丸々貸し出しで、食費・交通費を、毎日現金で4,000円。それ以外に仕事で必要な作業着や部屋で使う机など、1人平均20~30万円を自費で出し、さらに別途給与も支払っています。

実際に今年8月に少年院を出て、岡本さんの所で働いている、現在21歳の「ゆうさん」という方に、お話を聞くことができました。

建設会社で働く若者の思い

「朝の8時から5時、週6日勤務です。材料が重かったり、夏は暑くてキツいときもありますが、毎日楽しいので充実しています。どうせ鳶をやるなら軽い気持ちではなく本気でやって、いつかは独立できればいいなと思っているので。少年院に入る前も、2年ぐらい続けた仕事が1つの出来事でゼロに戻ったんですが、そういうことは二度としたくないので、続けています。」
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建設現場で働く少年(ゆうさん)

ゆうさんは、15歳と19歳のときの二度、少年院に入っていて、今年8月に出院する際、父親が身元引受人を拒否したため、紹介を受けて岡本さんの所にやってきました。現在、三ヶ月連続で無遅刻無欠勤を達成し、すでに資格も2つ取得したそうです。

ただ、これまで11年間で約50名を受け入れたんですが、その内、いまも仕事を続けているのは、実はわずか2人。ほとんどが二~三ヶ月でいなくなったり、中には一日で姿を消す人もいるそうです(振り込め詐欺の受け子になった人も…)。
そこで、極端に低い定着率を少しでも上げるため、岡本さんは新たに取り組みを始めました。再び、岡本さんのお話です。

「NPO法人なんとかなる」の設立の経緯と活動内容

「実際に働いてみると、こんなはずじゃなかったとか、こんなにきついのかとか、人間関係も合う合わないが分かってくる。でも、例えば鳶職以外の仕事を体験できる仕組みがあれば、黙っていなくなる事はなかったんじゃないかと考えて、今年の7月13日に、「NPO法人なんとかなる」の設立にいたりました。横須賀市内の29企業。介護、お弁当屋さん、飲食、ホテルの清掃などの企業に協力していただいて、職場体験できるような仕組みを取り組んでいるところです。」

この「NPO法人なんとかなる」では、現在29の協力企業の職業体験を提供しつつ、食事やパソコン学習など、生活の基盤も支えていける仕組み作りを行ったとのことです。いま16歳の少年が(去年、家出して児童相談所に入り、親も受け入れ拒否状態)、介護職やコンビニでアルバイトしたり、3日でクビになったり、一度は行方不明になり補導され鑑別所に入ったり…というのを繰り返しながらチャレンジしているとのこと。

最後に、今後の目標について、岡本さんはこんな話をしてくれました。

今後の目標

「今後の目標としては、児童養護施設退所者、少年院・刑務所出所者の就職の選択肢を広げていきたいです。受け入れ先の職種は、どうしても建設業が多いんですよね。女子が就職出来るような職種、例えば介護や飲食、美容も増やしていきたいです。
後は、職場体験する中で、「あ、この仕事だったら自分を合わせられるかな」と言う仕事に巡り会えてもらって自立していってくれたらいいなと思います。」

貸したお金は当然戻ってきませんが、新しい子が来るたびに信じたくなる、でも黙っていなくなる…。その繰り返しですが、めげずにやり続けたいとお話してくれました。

(担当:田中ひとみ)

<参考>
■セリエコーポレーション
http://鳶セリエ.com/index.html